普通騒音計NL-43 精密騒音計NL-53 取扱説明書 技術解説編

7 背景騒音の影響

測定対象音がないときのその場所における騒音を背景騒音(暗騒音)と言います。騒音計の指示値は測定対象音と背景騒音の合成となるため、測定対象音のみの測定の場合より大きな指示値となる可能性があります。
測定対象音があるときとないときの騒音計の指示値の差が10 dB以上の場合、背景騒音の影響はほぼ無視できます。
差が10 dB未満のときは、下表によって指示値を補正することにより、測定対象音のみのレベルを推定できます。

背景騒音の影響に対する補正

測定対象音があるときと
ないときの指示値の差
4 5 6 7 8 9
補正値 -2 -1

(単位:dB)

たとえば、ある機械を運転して測定したときの騒音レベルが70 dB、機械を停止して測定した背景騒音のレベルが63 dBであれば、その差は7 dBになります。この差(7 dB)に対する補正値は-1 dBなので、機械から発生する騒音のレベルは70 dB +(-1 dB)= 69 dBと推定できます。
背景騒音の影響量を補正する方法は、測定対象音と背景騒音が共に定常騒音の場合を前提にしています。特に、背景騒音のレベルが測定対象音のレベルに近い場合(差が3 dB以下)、測定対象音または背景騒音が変動している場合は、正しく補正ができないため、背景騒音の低減などの対策が必要となります。